簡単に遠隔での治験が実現できるプラットフォーム「Uchiken」の提供を開始。 ZoomおよびDocuSign eSignatureを導入し、 低コストでeConsent(電子同意)の仕組みを実現。
~国立がん研究センターの支援を得て開発。医療機関の求める遠隔治験の環境構築の一助に~


3Hメディソリューション株式会社(東京都豊島区、代表取締役 滝澤 宏隆、以下3H)は、 治験や臨床研究(以下合わせて治験)においてオンライン面談、および電子同意 (以下eConsent)を可能にする分散型臨床試験 (Decentralized clinical trial: 以下DCT)プラットフォーム「Uchiken(ウチケン)」の提供を開始しましたのでお知らせします。

DCTは、遠隔診療や訪問看護あるいはウェアラブルデバイスなどを活用し、患者さんが医療機関に来院することなく自宅や職場などで治験に参加していただける取り組みです。「治験をしている医療機関が遠方である」あるいは「仕事や子育てで時間が取れない」などの課題を解決し、治験に参加しやすい「患者中心」の環境を提供します。

「Uchiken」は、このDCTを支援するプラットフォームです。3Hでは第一弾として、治験における同意取得を遠隔で行うためのeConsent、その際必要となる遠隔面談の機能を開発しました。「Uchiken」のオンライン環境下で、患者さんと医療従事者が治験の内容説明、疑義確認、検討、同意の意思確認、署名の工程をスムーズに行うことが可能になります。

「Uchiken」の開発においては、国立研究開発法人国立がん研究センターと共同研究契約を結び、医療現場での実用可能性などについての助言を得て行っています。またグローバルスタンダードとなっている2つのシステム「Web会議システムの“Zoom Meetings”」や「電子署名システムの“DocuSign eSignature”」を活用し、高品質かつ適切な記録の残る治験に適合した患者中心のDCT環境を提供します。

新型コロナウイルスの感染拡大により、不要不急の外出が制限され、多くの治験が中断や延期となりました。こうした中、来院に依存しない患者中心のDCTへの注目が集まり、欧米で急速に普及しました。しかし、日本では普及が進んでいるとは言えず、DCTを実施するための基盤整備も十分とは言えません。世界規模で治験が実施される中、DCT環境の整備が遅れている日本を回避する考えも出始めており、新たなドラッグラグ、ドラッグロスにつながるのではという懸念も指摘されています。eConsentに関しては、導入にあたり法規制の問題やコストが高額になること、本人確認の方法などの課題が挙げられていました。(※1)しかし今年3月の厚生労働省のガイダンスにより、導入環境の整備が進み始めています。(※2)

「Uchiken」は、このガイダンスに準拠し、eConsentの導入課題を解決するDCTプラットフォームです。Zoom MeetingsやDocuSign eSignatureといった既存のシステム基盤を活用することで開発コストを削減。国立がん研究センターの支援を得て、医療現場に必要な機能や利便性に配慮した設計を行っています。また米国食品医薬品局が制定したFDA 21CFR Part11にも対応し、従来の紙の記録や手書きの署名と法的に同等の効力を持つことを保証しています。(※3)

今後3Hは、EDCなどの治験に使われる他の管理システムとの連動を進めるとともに、3Hの既存サービスである「eRecruit(被験者募集)」、「Home Nursing(訪問治験)」、「プロビジョニング(デバイス運用管理)」などとも組み合わせ、ワンストップでのDCT環境の構築支援を行っていきます。

※1「DCTにおけるデータの流れとその信頼性確保」医薬品評価委員会 データサイエンス部会
https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/allotment/DS_202208_DCT_f01.html
※2治験及び製造販売後臨床試験における電磁的方法を用いた説明及び 同意に関する留意点について
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc7518&dataType=1&pageNo=1
※3 FDAが制定した「電子データと電子署名」に関する規則で、電子記録、またはその電子記録に対して電子署名を行う際の基準

■国立がん研究センター東病院 先端医療科長 土井俊彦先生 コメント
「医療機関が遠く治験に参加できない患者さんをたくさん見てきました。治験の説明や参加に同意するために患者さんに遠方まで来てもらうことは難しく、治験参加の大きなハードルとなっています。こうした課題を解決できないか3Hさんに相談し、生まれたのがUchikenです。開発にあたり、どのような機能が必要か、どうしたら導入しやすいかなど、医療機関の目線でアドバイスさせていただきました。Uchikenにより一人でも多くの患者さんに治験参加の機会が増えればと期待しています。」